今日は、うわさ話研究にはどのようなものがあるのかを、佐藤健二『流言蜚語』からまとめてみよう。
①伝説や民話、童話研究が組織した蒐集と解読
グリム童話から、柳田国男の遠野物語など。
具体的なテクスト研究の蓄積に主眼。そこから社会史的な認識つまりその話の担い手や交通・コミュニケーションの形態分析へ。
→少数の例外を除き、話の型の分類にとどまる。いわば昆虫採集の興味。
研究の特徴としては、歴史的な連続性、同一性、不変性を求め時間軸ー歴史軸を縦に遡りたがる。
口裂け女→うぶめ
②20世紀初頭の実験集団心理学的なうわさ研究
うわさ話のコミュニケーションを、誤謬を含む伝達過程と捕らえる。
→連続伝達ゲーム
地下鉄の中でかみそりを持った白人が黒人と口論している絵を使った実験。
オルポート、ポストマンが連続伝達の中での変容の規則性を「平均化」「強調」「同化」とまとめた。
平均化→説明の細部が短く簡潔になり、単純平易な記述になること。
強調→逆に人々が自分の関心に合わせて情報を切り取り、再現する結果としてある部分が色づけられること。
同化→いわば合理化とも言うべき一貫した説明の構築傾向で、伝達者たちがもともと持っている先入観や関心に対して説明が整合的になっていくこと。
実験状況でつくられたうわさ話は、どうしても限られた条件を強いられる。
→自然状態でのうわさ話の展開、流布との乖離。
③実験室よりもう少し広い現実を対象にした社会心理学、精神分析的な心性解読。
うわさ話を伝える主体としての人間の心理に注目。
抑圧された衝動、不安、憎悪、愛情を引き出す。
フロイト、ユングの先駆的解読に始まる臨床的なテクスト研究。
いわばうわさ話の駆動力に光を当て、うわさ話生産の過程への参加を不安や不満に解決を与える行動と捕らえ、本質的にはカタルシス獲得の過程として、つまり抑圧された態度をカモフラージュしながら表出し、その欲望にはけ口を与えるコミュニケーションとして捕らえる。
虚勢願望とか、エディプスコンプレックスとかの一般化された概念のもとでの非歴史的、非社会的な神話構造の設定を発展させた。→テクスト超越的にステロタイプ。
④民衆思想的な解読
この解読は、民衆文化の再発見を前提とし、第二次大戦期のマスコミ統制化における世間話や流言蜚語の体制批判力への注目が触媒となり強調された。
背後に、ウソは権力のもの。民衆は常に自然で無垢で正しいという平板な民衆自然主義。
うわさ話の内なる差別やルサンチマンの問題が切り落とされ隠蔽される。
⑤社会学、人類学的な分析の可能性としてのエドガール・モランの『オルレアンのうわさ』解読
モランたちは、この社会現象の記述と分析を通して具体的な出来事に現前する社会学的な諸テーマの現代的な連関を描いた。
→いま目の前で起こりつつある現実の出来事を記述することをつうじて、理論的分析の対象とするモノグラフィの手法の伝統の現代社会学への再生。
学術的な用語カタログでも構造主義的に統一された概念でもない「社会的な場所と日付とをもつ現象」の構造化された研究としての「現象の論理」の発見である。
⑥社会史的な視角
南博『くちコミュニケーション』内の
坂田稔「日本近現代史に見るクチコミの諸類型」
→オルレアンのうわさ分析が行ったようにひとつのうわさ話を掘り下げ、そこに現れている要素の時代性、普遍性をディティールにわたって検討することを通じて、話そのものの内部の時間を確定すべきだった。
あとは、大震災の流言研究について少し詳しく載っていた。
オルポート、ポストマンまた、タモツ・シブタニらの流言論についてはまた詳しく書くつもり
①伝説や民話、童話研究が組織した蒐集と解読
グリム童話から、柳田国男の遠野物語など。
具体的なテクスト研究の蓄積に主眼。そこから社会史的な認識つまりその話の担い手や交通・コミュニケーションの形態分析へ。
→少数の例外を除き、話の型の分類にとどまる。いわば昆虫採集の興味。
研究の特徴としては、歴史的な連続性、同一性、不変性を求め時間軸ー歴史軸を縦に遡りたがる。
口裂け女→うぶめ
②20世紀初頭の実験集団心理学的なうわさ研究
うわさ話のコミュニケーションを、誤謬を含む伝達過程と捕らえる。
→連続伝達ゲーム
地下鉄の中でかみそりを持った白人が黒人と口論している絵を使った実験。
オルポート、ポストマンが連続伝達の中での変容の規則性を「平均化」「強調」「同化」とまとめた。
平均化→説明の細部が短く簡潔になり、単純平易な記述になること。
強調→逆に人々が自分の関心に合わせて情報を切り取り、再現する結果としてある部分が色づけられること。
同化→いわば合理化とも言うべき一貫した説明の構築傾向で、伝達者たちがもともと持っている先入観や関心に対して説明が整合的になっていくこと。
実験状況でつくられたうわさ話は、どうしても限られた条件を強いられる。
→自然状態でのうわさ話の展開、流布との乖離。
③実験室よりもう少し広い現実を対象にした社会心理学、精神分析的な心性解読。
うわさ話を伝える主体としての人間の心理に注目。
抑圧された衝動、不安、憎悪、愛情を引き出す。
フロイト、ユングの先駆的解読に始まる臨床的なテクスト研究。
いわばうわさ話の駆動力に光を当て、うわさ話生産の過程への参加を不安や不満に解決を与える行動と捕らえ、本質的にはカタルシス獲得の過程として、つまり抑圧された態度をカモフラージュしながら表出し、その欲望にはけ口を与えるコミュニケーションとして捕らえる。
虚勢願望とか、エディプスコンプレックスとかの一般化された概念のもとでの非歴史的、非社会的な神話構造の設定を発展させた。→テクスト超越的にステロタイプ。
④民衆思想的な解読
この解読は、民衆文化の再発見を前提とし、第二次大戦期のマスコミ統制化における世間話や流言蜚語の体制批判力への注目が触媒となり強調された。
背後に、ウソは権力のもの。民衆は常に自然で無垢で正しいという平板な民衆自然主義。
うわさ話の内なる差別やルサンチマンの問題が切り落とされ隠蔽される。
⑤社会学、人類学的な分析の可能性としてのエドガール・モランの『オルレアンのうわさ』解読
モランたちは、この社会現象の記述と分析を通して具体的な出来事に現前する社会学的な諸テーマの現代的な連関を描いた。
→いま目の前で起こりつつある現実の出来事を記述することをつうじて、理論的分析の対象とするモノグラフィの手法の伝統の現代社会学への再生。
学術的な用語カタログでも構造主義的に統一された概念でもない「社会的な場所と日付とをもつ現象」の構造化された研究としての「現象の論理」の発見である。
⑥社会史的な視角
南博『くちコミュニケーション』内の
坂田稔「日本近現代史に見るクチコミの諸類型」
→オルレアンのうわさ分析が行ったようにひとつのうわさ話を掘り下げ、そこに現れている要素の時代性、普遍性をディティールにわたって検討することを通じて、話そのものの内部の時間を確定すべきだった。
あとは、大震災の流言研究について少し詳しく載っていた。
オルポート、ポストマンまた、タモツ・シブタニらの流言論についてはまた詳しく書くつもり
# by maru0039 | 2007-11-14 00:14 | 卒論